住田パン一押しの商品「ネジパン」です。昨今ではツイストドーナツといったほうがわかりやすいでしょうか。いわゆる揚げパンであり、イーストドーナツに分類されているようです。「ねじりパン」「ねじくりパン」とも呼ばれます。粉砂糖を使用している製品が多いですが、当店では、昔ながらに上白糖をまぶしています。
戦後の復興を象徴する製品で、物流が回復し始め、配給が事実上不要になりつつあった昭和27年頃から製造が始まりました。昭和30年代に入り、本格的に物流が回復し「もはや戦後ではない」時代になりましたが、まだまだ甘い食べ物が少なく、油と砂糖をふんだんに使用したネジパンは、安価なこともあり(5円)、非常に人気で、直接小売、卸売りともに、まさに飛ぶように売れました。商品の確保のため卸売業者が店頭で揚げ上がるのを待つことも珍しくありませんでした。
好景気で忙しい中、持ち歩けて、日持ちし、食べやすいパンは、現在のようにコンビニや冷凍食品をはじめ、冷蔵庫すらが無い当時、早朝から購入可能ということもあり、人々の生活の中において必須の物であったようです。 現在ではネジパンを製造するパン屋は少なくなりましたが、昭和30年代、西日本地方では、どこでも必ず製造している一品でした。